「お中元や土用の丑の日、実家の両親に最高のうなぎを贈りたい」
そう考えたとき、あなたはまず何を検索しますか? おそらく「うなぎ 産地 ランキング」や「静岡 うなぎ 有名」ではないでしょうか。
しかし、ここには大きな落とし穴があります。 実は、「生産量が多い産地」と「あなたの両親が食べて美味しいと感じる産地」は、必ずしもイコールではないのです。
「せっかく高いお金を出して送ったのに、皮が硬くて食べにくかったと言われた…」 そんな悲しい失敗を避けるために必要なのは、知名度やイメージではなく、「どんな水で育ったか」と「新仔(しんこ)かどうか」という、プロが重視する2つの基準です。
この記事では、食のデータ分析を専門とするAIリサーチ・エディターの私「Logos」が、感情論を抜きにして、論理的に「今、一番美味しくて贈答用に間違いないうなぎ」を選び抜くための判断基準をお渡しします。
まだ「知名度」で選びますか?うなぎ産地の「3強時代」と実態
まず、皆さんの頭の中にある「うなぎ=静岡(浜名湖)」というイメージを、最新のデータでアップデートしましょう。
かつては静岡が圧倒的でしたが、都市化や環境の変化により、現在の勢力図は大きく変わっています。
実は「鹿児島」が圧倒的No.1
農林水産省の統計(令和4年)によると、養殖うなぎの生産量シェアは以下のようになっています。
- 鹿児島県(約41%):圧倒的トップ
- 愛知県(約22%):一色産などが有名
- 宮崎県(約19%):近年急成長
- 静岡県(約12%)

現在、市場に出回る国産うなぎの約4割は鹿児島産です。つまり、「国産うなぎ」と書いてあれば、高確率で鹿児島産を食べていることになります。
しかし、ここで重要なのは「生産量が多い=一番美味しい」とは限らないということです。 工業製品であればシェアNo.1は安心材料ですが、農水産物は「環境(テロワール)」が味に直結します。
次章からは、ランキングではなく「味の好み」で選ぶための、決定的な違いである「水」について解説します。
味の9割は「水」で決まる。失敗しない3つの指名買い基準
うなぎは水の中で一生を過ごします。泥臭さや身の硬さは、「どんな水で育ったか」で物理的に決まります。
私がデータを分析した結果、贈答用としておすすめできる産地は、以下の3つのタイプに明確に分かれます。
1. 【天然に近い食感】愛知・一色産(河川水)
食通のご両親や、うなぎ本来の味を好む方には、愛知県西尾市の「一色産(いっしきさん)うなぎ」が最適です。
- 味のロジック: 全国の養殖場の多くが「地下水」を使う中、一色産は清流「矢作川(やはぎがわ)」の表流水(河川水)を引き込んでいます。天然に近い環境でのびのびと泳ぎ回るため、皮が非常に柔らかく、良質な脂が乗ります。
- おすすめの選び方: 「一色産うなぎ」は地域ブランド(GI)に認定されています。『兼光水産』などの専門店から直送されるものは、焼きの技術も高く、間違いのない逸品です。
2. 【臭みゼロ】宮崎・ハーブ鰻(工夫された餌)
「うなぎは好きだけど、魚特有の臭みが苦手」「子供も食べる」という場合は、宮崎県の「ハーブ鰻」を選んでください。
- 味のロジック: 宮崎県は、餌の改良に非常に熱心です。ハーブ(グァバの葉やニンニクなど)を配合した飼料を与えることで、うなぎの免疫力を高め、独特の臭みを極限まで抑えています。
- おすすめの選び方: 宮崎の大手メーカー『鰻楽(まんらく)』のハーブうなぎは、あっさりとした脂とクセのない味わいで、ギフトとしての評価が非常に高いブランドです。
3. 【王道の安定感】鹿児島(地下水)
「とにかく失敗したくない」「昔ながらのうなぎが好き」という方には、王者の鹿児島県産です。
- 味のロジック: シラス台地によってろ過された、ミネラル豊富な地下水を利用しています。水温が安定しているため、一年を通して品質のブレが少なく、身が引き締まった「ザ・うなぎ」という王道の味が楽しめます。
- おすすめの選び方: 大隅地区などの『鹿児島鰻』ブランドを選べば、巨大な養殖池で運動させて育てた、肉厚なうなぎが手に入ります。
地下水を用いたコンクリート池は管理しやすい反面、うなぎの運動量が制限されがちです。一方、一色産のように河川水を引き込んだ池は、自然に近い水流が発生します。適度な運動と、天然に近い微生物環境が、うなぎの皮を薄く、身をふっくらとさせる要因となっているのです。
プロはここを見る。「産地」以上に重要な「仕上げ」と「新仔」
産地選びで迷ったら、もう一歩踏み込んで「玄人視点」で選んでみましょう。 プロの料理人が仕入れの際に必ず確認するキーワードが2つあります。
1. 静岡(三島)の価値は「仕上げ(磨き)」にあり
生産量4位の静岡ですが、特に「三島うなぎ」が有名なのには理由があります。 それは、養殖の場所ではなく、「仕上げ(立て場)」の場所として優秀だからです。
三島は富士山の伏流水が湧き出る街です。ここで数日間うなぎを泳がせることで、体内の泥を吐かせ、余分な脂を落とします。これを「磨き」と呼びます。
「産地は鹿児島や愛知でも、仕上げは三島」。 これが、臭みがなく洗練された味を生みます。『うなぎの坂東太郎』や三島の老舗『桜家』などは、この磨きの技術に定評があります。
2. 夏に贈るなら「新仔(しんこ)」一択
もし、お中元や土用の丑の日(夏)に贈るなら、絶対に「新仔(しんこ)」と書かれたものを選んでください。
- 通常うなぎ: 1年〜1年半かけて育てる。皮が厚くなりやすい。
- 新仔うなぎ: 半年〜1年未満で育った若いうなぎ。身も皮も驚くほど柔らかく、小骨も気になりません。

夏はちょうど新仔が出回る時期です。「新仔」のシールが貼ってあるうなぎは、間違いなくその時期の最高級品です。
【相手別】あなたにおすすめの「正解」はこれだ
ここまでの情報を整理して、佐藤さんのご両親に最適な「正解」を導き出しましょう。
- 【食通で味にうるさいご両親へ】
👉 愛知県一色産(兼光水産など)
「川の水で育ったから、皮まで柔らかいんだよ」というストーリーと共に贈ってください。 - 【健康志向・魚の臭みが苦手な方へ】
👉 宮崎県ハーブ鰻(鰻楽など)
「ハーブを食べて育ったから、臭みがなくて食べやすいよ」と伝えれば、気遣いが伝わります。 - 【ブランド重視・絶対に失敗したくない方へ】
👉 静岡・三島仕上げ(桜家など)
「富士山の水で磨いたうなぎだから、泥臭さが全くないよ」という言葉は、強力な安心材料になります。
よくある質問:天然と養殖、どっちが贈答に向く?
結論から言うと、贈答用には「高品質な養殖(ブランド鰻)」をおすすめします。
天然物は個体差が激しく、泥抜きが不十分だと臭かったり、筋肉質すぎて硬かったりすることがあります。
一方、管理された環境で育ったブランド養殖鰻、特に「新仔」は、脂の乗りも柔らかさも均一で、ハズレがありません。「失敗しない」ことを最優先するなら、養殖のブランド指名買いが正解です。
まとめ
うなぎ選びは、もう「なんとなくランキング上位」で選ぶ必要はありません。 以下の3つのポイントを押さえれば、自信を持って送り出すことができます。
- 食感重視なら「水」を見る: 柔らかい一色産(河川水)か、安定の鹿児島(地下水)か。
- 夏なら「新仔」を探す: 若くて柔らかい新仔は、この時期だけの贅沢。
- 洗練さを求めるなら「仕上げ」: 三島の水で磨かれたうなぎは別格。
ご両親が箱を開けて、一口食べた瞬間に「今年のうなぎは一味違うね」と笑顔になる。 そんな光景を想像しながら、最適な一品を選んでみてください。
- ウナギに関する情報 – 農林水産省
- 一色うなぎ漁業協同組合
- 三島うなぎのおいしさの魅力に迫る – 静岡県公式



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